名選手が名監督になれるわけではない

キャッチャー

サッカーの世界には「名監督、名選手にあらず」という言葉があり、世界中でとても有名です。しかし、これはサッカーに限った話ではなく野球界に関しても同じことが言えるようなところがあります。工藤公康氏のように現役時代から後輩の指導・メンタルケア能力に長けていた人は成功しやすいものの、様々な能力が備わっていないと名選手でも名監督にはなれません。

例えば現役時代は、周囲に試合に出られずに苦しんでいる選手がいても特に励ましてあげるような必然性はなく、自分の事に集中していればOKです。しかし、監督になったら想像力を膨らませて、試合に出ている選手・不調で出られていない選手の心情を察し、特に不調の選手の心のケアをしなければなりません。逆に雑なプレーが目立つレギュラー選手に対して意図的に危機感を与えて慢心状態にさせないような事も大事で、メンタルコントロール能力の高さが求められます。

次の対戦相手の分析や弱点を見つける作業を継続的に行う必要がありますが、名選手の中には過剰な自信のもとでそういった作業を怠って成功できないケースもあります。

例えば、400勝投手の金田正一は投手としてはプロ野球史上最高の存在とも言われる名選手です。ただし、自己中心的な性格で他人の心を読むのが下手であったほか、気性の荒さでも知られています。監督になっても、気性の荒さは変わらずにグラウンド上にて冷静さを欠いて様々な事件を起こしてきました。さらに、人の気持ちが読めない点も変えることができず、各選手のメンタルケアが十分に出来ていなかったため、監督としてはあまり成功できなかった人物です。

監督に不向き